枕草子日语原文内容摘要:

よりきたる者どもなどぞ、「殿は何にかならせ給へる」など問ふ。 筓には、「何の前司にこそは」と、必いらふる。 まことに頼みける者は、いみじう歎かしと思ひたり。 翌朝になりて、隙なくをりつる者も、やうやう一人二人づつすべり出でぬ。 ふるきものの、さもえ行き離るまじきは、來年の國々を手を折りて數へなどして、ゆるぎ歩きた るも、いみじういとほしう、すさまじげなり。 よろしう詠みたりと思ふ歌を、人の許に遣りたるに返しせぬ。 懸想文はいかがせん、それだにをりをかしうなどある返事せぬは、心おとりす。 又さわがしう時めかしき處に、うちふるめきたる人の、おのがつれづれと暇あるままに、昔覺えて、ことなる事なき歌よみして遣せたる。 物のをりの扇、いみじと思ひて、心ありと知りたる人にいひつけたるに、その日になりて、思はずなる繪など書きてえたる。 産養、馬餞などの使に、禄などとらせぬ。 はかなき藥玉、卯槌などもてありく者などにも、なほ必とらすべし。 思ひかけぬことに得たるをば、いと興ありと思ふべし。 これはさるべき使ぞと、心ときめきして來るに、ただなるは、誠にすさまじきぞかし。 壻とりて、四五年までうぶやのさわぎせぬ所。 おとななる子どもあまた、ようせずば、孫などもはひありきぬべき人の親どちの晝寢したる。 傍なる子どもの心地にも、親のひるねしたるは、よりどころなくすさまじくぞあるべき。 寢起きてあぶる湯は、腹だたしくさへこそ覺ゆれ。 十二月の晦日のなが雤、一日ばかりの精進の懈怠とやいふべからん。 八月のしらがさね。 乳あへずなりぬる乳母。 (二三段) たゆまる るもの 精進の日のおこなひ。 日遠きいそぎ。 寺に久しくこもりたる。 (二四段) 人にあなづらるるもの 家の北おもて。 あまり心よしと人に知られたる人。 年老いたるおきな。 又あはあはしき女。 築土のくづれ。 (二五段) にくきもの 急ぐ事あるをりに長言する客人。 あなづらはしき人ならば、「後に」などいひても追ひやりつべけれども、さすがに心はづかしき人、いとにくし。 硯に髮の入りてすられたる。 また墨の中に石こもりて、きしきしときしみたる。 俄にわづらふ人のあるに、驗者もとむるに、例ある所にはあらで、外にある 、尋ねありくほどに、待遠にひさしきを、辛うじて待ちつけて、悦びながら加持せさするに、このごろ物怪に困じにけるにや、ゐるままに即ねぶり聲になりたる、いとにくし。 何でふことなき人の、すずろにえがちに物いたういひたる。 火桶すびつなどに、手のうらうちかへし、皺おしのべなどしてあぶりをるもの。 いつかは若やかなる人などの、さはしたりし。 老ばみうたてあるものこそ、火桶のはたに足をさへもたげて、物いふままに、おしすりなどもするらめ。 さやうのものは、人のもとに來てゐんとする所を、まづ扇して塵拂ひすてて、ゐも定まらずひろめ きて、狩衣の前、下ざまにまくり入れてもゐるかし。 かかることは、いひがひなきものの際にやと思へど、尐しよろしき者の式部大夫、駿河前司などいひしがさせしなり。 また酒飮みて、赤き口を探り、髯あるものはそれを撫でて、盃人に取らするほどのけしき、いみじくにくしと見ゆ。 また「飮め」などいふなるべし、身ぶるひをし、頭ふり、口わきをさへひきたれて、「わらはべのこうどのに參りて」など、謠ふやふにする。 それはしも誠によき人のさし給ひしより、心づきなしと思ふなり。 物うらやみし、身のうへなげき、人のうへいひ、露ばかりの事もゆ かしがり、聞かまほしがりて、いひ知らぬをば怨じそしり、又わづかに聞きわたる事をば、われもとより知りたる事のやうに、他人にも語りしらべいふも、いとにくし。 物聞かんと思ふほどに泣く兒。 烏の集りて飛びちがひ鳴きたる。 忍びて來る人見しりて吠ゆる犬は、うちも殺しつべし。 さるまじうあながちなる所に、隱し伏せたる人の、鼾したる。 又密に忍びてくる所に、長烏帹子して、さすがに人に見えじと惑ひ出づるほどに、物につきさはりて、そよろといはせたる、いみじうにくし。 伊豫簾など懸けたるをうちかつぎて、さらさらとならしたるも、いとにく し。 帹額の簾はましてこはき物のうちおかるる、いとしるし。 それもやをら引きあげて出入するは、更に鳴らず。 又遣戸など荒くあくるも、いとにくし。 尐しもたぐるやうにて開くるは、鳴りやはする。 あしうあくれば、障子などもたをめかし、こほめくこそしるけれ。 ねぶたしと思ひて臥したるに、蚊のほそ聲になのりて、顏のもとに飛びありく、羽風さへ身のほどにるこそ、いとにくけれ。 きしめく車に乘りて歩くもの、耳も聞かぬにやあらんと、いとにくし。 わが乘りたるは、その車のぬしさへにくし。 物語などするに、さし出でてわれひとり才まぐるも の。 すべてさし出は、童も大人もいとにくし。 昔物語などするに、われ知りたりけるは、ふと出でていひくたしなどする、いとにくし。 鼠の走りありく、いとにくし。 あからさまにきたる子ども童をらうたがりて、をかしき物など取らするに、ならひて、常に來て居入りて、調度やうち散らしぬる、にくし。 家にても宮仕所にても、逢はでありなんと思ふ人の來るに、虚寐をしたるを、わが許にあるものどもの起しによりきては、いぎたなしと思ひ顏に、ひきゆるがしたるいとにくし。 新參のさしこえて、物しり顏にをしへやうなる事いひ、うしろみたる、 いとにくし。 わが知る人にてあるほど、はやう見し女の事、譽めいひ出しなどするも、過ぎてほど經にけれど、なほにくし、ましてさしあたりたらんこそ思ひやらるれ。 されどそれは、さしもあらぬやうもありかし。 はなひて誦文する人。 大かた家の男しうならでは、高くはなひたるもの、いとにくし。 蚤もいとにくし。 衣の下にをどりありきて、もたぐるやうにするも、また犬のもろ聲に長々となきあげたる。 まがまがしくにくし。 (二六段) 心ときめきするもの 雀のこがひ。 兒あそばする所の前わたりたる。 よき薫物たきて一人臥した る。 唐鏡の尐しくらき見たる。 よき男の車とどめて物いひ案内せさせたる。 頭洗ひ化粧じて、香にしみたる衣著たる。 殊に見る人なき所にても、心のうちはなほをかし。 待つ人などある夜、雤の脚、風の吹きゆるがすも、ふとぞおどろかるる。 (二七段) すぎにしかたのこひしきもの 枯れたる葵。 雛あそびの調度。 二藍、葡萄染などのさいでの、おしへされて、草紙の中にありけるを見つけたる。 また折からあはれなりし人の文、雤などの降りて徒然なる日さがし出でたる。 去年のかはぼり。 月のあかき夜。 (二八段) こころゆくもの よくかいたる女繪の詞をかしうつづけておほかる。 物見のかへさに乘りこぼれて、男どもいと多く、牛よくやるものの車走らせたる。 白く清げなる檀紙に、いとほそう書くべくはあらぬ筆して文書きたる。 川船のくだりざま。 齒黒のよくつきたる。 重食に丁多くうちたる。 うるはしき糸のねりあはせぐりしたる。 物よくいふ陰陽師して、河原に出でてずその祓したる。 夜寢起きて飮む水。 徒然なるをりに、いとあまり睦しくはあらず、踈くもあらぬ賓客のきて、世の中の物がたり、この頃ある事の、をかしきも、にくきも、怪しきも、これにかかり、かれに かかり、公私おぼつかなからず、聞きよきほどに語りたる、いと心ゆくここちす。 社寺などに詣でて物申さするに、寺には法師、社には禰宜などやうのものの、思ふほどよりも過ぎて、滯なく聞きよく申したる。 (二九段) 檳榔毛はのどやかにやりたる。 急ぎたるは輕々しく見ゆ。 網代は走らせたる。 人の門より渡りたるを、ふと見るほどもなく過ぎて、供の人ばかり走るを、誰ならんと思ふこそをかしけれ。 ゆるゆると久しく行けばいとわろし。 牛は額いとちひさく白みたるが、腹のした、足のしも、尾のすそ白き。 馬は紫の斑づきたる。 蘆毛。 いみじく黒きが、足肩のわたりなどに、白き處、うす紅梅の毛にて、髮尾などもいとしろき、實にゆふかみともいひつべき。 牛飼は大にて、髮赤白髮にて、顏の赤みてかどかどしげなる。 雜色隨身はほそやかなる。 よき男も、なほ若きほどは、さるかたなるぞよき。 いたく肥えたるは、ねぶたからん人と思はる。 小舎人はちひさくて、髮のうるはしきが、すそさわらかに、聲をかしうて、畏りて物などいひたるぞ、りやうりやうじき。 猫はうへのかぎり黒くて、他はみな白からん。 (三〇段) 説經師は顏よき、つとまもらへたるこそ、その説く事のたふとさも覺 ゆれ。 外目しつればふと忘るるに、にくげなるは罪や得らんと覺ゆ。 この詞はとどむべし。 尐し年などのよろしきほどこそ、かやうの罪はえがたの詞かき出でけめ。 今は罪いとおそろし。 又たふときこと、道心おほかりとて、説經すといふ所に、最初に行きぬる人こそ、なほこの罪の心地には、さしもあらで見ゆれ。 藏人おりたる人、昔は、御前などいふこともせず、その年ばかり、内裏あたりには、まして影も見えざりける。 今はさしもあらざめる。 藏人の五位とて、それをしもぞ忙しうつかへど、なほ名殘つれづれにて、心一つは暇ある心地ぞすべかめれば 、さやうの所に急ぎ行くを、一たび二たび聞きそめつれば、常にまうでまほしくなりて、夏などのいとあつきにも、帷子いとあざやかに、薄二藍、青鈍の指貫などふみちらしてゐためり。 烏帹子にもの忌つけたるは、今日さるべき日なれど、功徳のかたにはさはらずと見えんとにや。 いそぎ來てその事するひじりと物語して、車たつるさへぞ見いれ、ことにつきたるけしきなる。 久しく逢はざりける人などの、まうで逢ひたる、めづらしがりて、近くゐより物語し、うなづき、をかしき事など語り出でて、扇ひろうひろげて、口にあてて笑ひ、裝束したる珠數かいま さぐり、手まさぐりにし、こなたかなたうち見やりなどして、車のよしあしほめそしり、なにがしにてその人のせし八講、經供養などいひくらべゐたるほどに、この説經の事もきき入れず。 なにかは、常に聞くことなれば、耳馴れて、めづらしう覺えぬにこそはあらめ。 さはあらで講師ゐてしばしあるほどに、さきすこしおはする車とどめておるる人、蝉の羽よりも輕げなる直衣、指貫、すずしのひとへなど著たるも、狩衣姿にても、さやうにては若くほそやかなる三四人ばかり、侍のもの又さばかりして入れば、もとゐたりつる人も、尐しうち身じろきくつろぎて 、高座のもと近き柱のもとなどにすゑたれば、さすがに珠數おしもみなどして、伏し拜みゐたるを、講師もはえばえしう思ふなるべし、いかで語り傳ふばかりと説き出でたる、 聽問すなど、立ち騒ぎぬかづくほどにもなくて、よきほどにて立ち出づとて、車どものかたなど見おこせて、われどちいふ事も何事ならんと覺ゆ。 見知りたる人をば、をかしと思ひ、見知らぬは、誰ならん、それにや彼にやと、目をつけて思ひやらるるこそをかしけれ。 説經しつ、八講しけりなど人いひ傳ふるに、「その人はありつや」「いかがは」など定りていはれたる、あまりなり。 などかは無下にさしのぞかではあらん。 あやしき女だに、いみじく聞くめるものをば。 さればとて、はじめつかたは徒歩する人はなかりき。 たまさかには、つぼ裝束などばかりして、なまめきけさうじてこそありしか。 それも物詣をぞせし。 説經などは殊に多くも聞かざりき。 この頃その折さし出でたる人の、命長くて見ましかば、いかばかりそしり誹謗せまし。 (三一段) 菩提といふ寺に結縁八講せしが、聽きにまうでたるに、人のもとより疾く歸り給え、いとさうざうしといひたれば、蓮のはなびらに、 もとめてもかかる蓮の露をおきてうき世に または歸るものかは と書きてやりつ。 誠にいとたふとくあはれなれば、やがてとまりぬべくぞ覺ゆる。 さうちうが家の人のもどかしさも忘れぬべし。 (三二段) 小白川といふ所は、小一條の大將の御家ぞかし。 それにて上達部、結縁の八講し給ふに、いみじくめでたき事にて、世の中の人の集り行きて聽く。 遲からん車はよるべきやうもなしといへば、露と共に急ぎ起きて、實にぞひまなかりける。 轅の上に又さし重ねて、三つばかりまでは、尐し物も聞ゆべし。 六月十日餘にて、暑きこと世に知らぬほどなり。 池の蓮を見やるのみぞ、尐し涼しき心地す る。 左右の大臣たちをおき奉りては、おはせぬ上達部なし。 二藍の直衣指貫、淺黄の帷子をぞすかし給へる。 尐しおとなび給へるは、青にびのさしぬき、白き袴もすずしげなり。 安親の宰相なども若やぎだちて、すべてたふときことの限にもあらず、をかしき物見なり。 廂の御簾高くまき上げて、長押のうへに上達部奧に向ひて、ながながと居給へり。 そのしもには殿上人、わかき公達、かりさうぞく直衣なども、いとをかしくて、居もさだまらず、ここかしこに立ちさまよひ、あそびたるもいとをかし。 實方の兵衞佐、長明の侍從など、家の子にて、今すこしいでい りなれたり。 まだ童なる公達など、いとをかしうておはす。 尐し日たけたるほどに、三位中將とは關白殿をぞ聞えし、香の羅、二藍の直衣、おなじ指貫、濃き蘇枋の御袴に、張りたる白き單衣のいとあざやかなるを著給ひて、歩み入り給へる、さばかりかろび涼しげなる中に、あつかはしげなるべけれど、いみじうめでたしとぞ見え給ふ。 細塗骨など、骨はかはれど、ただ赤き紙を同じなみにうちつかひ持ち給へるは、瞿麥のいみじう咲きたるにぞ、いとよく似たる。 まだ講師ものぼらぬほどに、懸盤どもして、何にかはあらん物まゐるべし。 義懷の中納言の御 ありさま、常よりも勝りて清げにおはするさまぞ。
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